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2011年03月 アーカイブ

絵画に描かれた夢の幻想世界

夢を題材にした絵画は古今東西を問わずたくさん描かれていますが、夢が現実の世界と同じような重要な対象となったのは18世紀後半以降といわれています。


たとえば、詩人でもあったイギリスのウィリアム・ブレイク(1757~1827)は、自分の内面にある幻想世界を見つめ、夢に表われる視覚的世界をカンバスに描いて有名になった画家のひとりでした。


このブレイクの代表作に『ノミの王さま』があります。


あやしげなノミの怪物を描いた不思議な油絵ですが・・・


この絵のスケッチを描いていたとき、ブレイクはまるで目の前にその怪物がいるかのように前方を凝視して写生し、しばらくすると、もう見えなくなったと言って絵筆を置いたという話が残っています。


ブレイクはまた、詩の世界でも幻想的な神話を創作していますが、これを絵画化したのが『ニュートン』という作品でした。


ブレイクと同時代に活躍したハインリッヒ・フュースリも、油絵のテーマに夢という幻想世界を多く取りあげた画家として有名です。


まだ羽毛 布団もなかったような時代ですが、このように夢の世界にはすでに興味がもたれていたのです。


彼はドイツの民話や伝説、シェークスピアの作品などを好んでテーマとし、たとえばシェークスピアの『真夏の夜の夢』などを描いています。


絵画に描かれた夢の幻想世界 2

夢の世界を描いたシリーズ『夢魔』も有名な作品のひとつですね。


眠っている女性のそばに馬が顔を出し、その女性はおそらく悪夢を見ているのでしょう、彼女の胸の上には悪魔(インクブス)がのっかっている・・・


そんな幻想的な油絵です。


一方、フランスの新古典主義の画家、アングル(1780~1867)が描いた『オシアンの夢』という作品は、古代ケルト人の叙情詩『オシアンの歌』に題材を求めたもの。


詩人オシアンが竪琴にもたれて眠り、恋人や勇者たちの夢を見ているという設定ですが、面白いのはオシアンはカラーで、夢の登場人物はモノクロで描き分けていることです。


劇映画にはときどきこの手法が取り入れられているようです。


『オシアンの夢』はアングルのほかにも多くの画家が描いていますが、アングルの作品はナポレオンの寝室の天井画として描いたものでした。


現代の画家で夢をモチーフにした作品を多く発表しているのが、シュールレアリズムで知られるサルバトーレ・ダリです。


このダリは実際に見た夢を参考にして絵の構想を練ったそうですが、その方法というのがユニークです。


ひじかけ椅子にすわり、指にスプーンをはさみ、スプーンの真下には鑛のお皿を置いてうたた寝をしたのです。


・・・そう、眠ってしまうと指からスプーンが落ち、下にあるお皿が音を立てるというわけです。


入眠時の幻覚、つまり夢を見逃さないためのユニークなアイデアだったのです。


しかしもしも布団 羽毛の中でぐっすり眠ってしまったら、さすがにスプーンの音を立てられても起きられないですよね。


ベッドルーム・スタディのすすめ

ヴィンセント・ヴァン・ゴッホは1888年春からアルル地方の「黄色い家」に一人で住みはじめました。


この「黄色い家」というのは外観を真っ黄色に塗った石造りの3階建てで、尊敬していたゴーギャンと同居するために移り住んだ家です。


ゴッホはきたるべく同居を待ち望みながら、部屋に家具や調度品などを整えはじめました。


寝室にはもちろんベッドを置いていましたが、これが農夫用の頑丈で大きい木製のものだったといいます。


ちなみに、当時のベッドは鉄製がほとんどだったようです。


もちろん羽毛 ふとんのような寝具はありません。


だから、この丸太むきだしの武骨なベッドははた目には変な感じに映ったかもしれません。


しかし、ゴッホはこの無愛想なベッドに安らぎを覚えていたといいます。


寝室には家具らしい家具も置かず、壁に数点の自画像をかけておく程度でした。


ベッドといえば、ノーベル賞作家のジョン・スタインベックがよく話題になります。


スタインベックはもっぱらベッドルームで執筆したことで知られています。


マーク・トウェインがやはりベッドの中で原稿を書いたことに触れ、スタインベックは


「肉体的に楽だと、心が自由に働いて集中できる」と日記に書いています。


このようなベッドルーム・スタディで有名な人物というと、元素周期表のメンデレエフやベンゼン核のケクレが有名ですが、日本の偉大なる科学者、湯川秀樹博士もまた寝床で「中間子理論」の大発見につながる糸ロをつかんだことで知られています。


ある台風の夜のことでした。


雨戸がガタガタして寝つけずにいた博士がそのうちうとうことし始めたとき、あのノーベル物理学賞を受賞した中間子理論の着想がわいたといいま謁す。


そういえば、日本人でもう一人、寝床でノーベル賞の発端をつかんだ科学者がいました。


「フロンティア電子理論」の福井謙一博士がその人ですね。

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